尾鷲グループ10月例会 「ハード面からのビジネス戦略」~地方で増える空き家対策、その活用方法を探る~

令和7年10月27日(月)に、尾鷲グループの10月例会が、尾鷲市中川に位置する企業の寮として使われていた施設を会場として、伊藤整氏の提案により開催されました。テーマは「ハード面からのビジネス戦略」~地方で増える空き家対策、その活用方法を探る~と題し、地方で増加する遊休施設(空き家)の具体的な活用方法を探る目的で、バズセッション形式での議論が行われました。

【施設の概要と課題】

議論の対象となった施設は、鉄筋コンクリート造3階建て、延床面積1120㎡、部屋数20室という規模の元寮です。現在、寮としてのニーズがなく、地域資源としてどう活用するかが課題です。提案者である伊藤氏からは、ビジネスとして成立させること、またはコミュニティ施設としての活用可能性を探りたいという提起がありました。また、施設の維持には固定資産税や電気保安費用などで年間約300万円弱の固定費が見込まれるため、これを賄うモデルが必要です。立地として海抜4mであり、長期滞在型の利用には津波の懸念も考慮されます。

【主な活用アイデア】

参加者による活発な議論では、多角的なアイデアが提案されました。

  1. 職業訓練・企業研修施設としての活用 特に現実的な案として、建設業の職業訓練校としての利用が挙げられました。建設業界の人手不足と、現場で新人に基礎知識を教える時間がないという課題から、集中して学べる施設への強いニーズが確認されました。また、同友会会員企業を対象としたMG(マネジメントゲーム)などの研修を定期的に開催する拠点とすることで、施設の稼働率を確保する具体的な提案もなされました。
  2. 宿泊・滞在施設としての活用 シェアハウスやゲストハウスとしての利用が検討されましたが、地域の既存宿泊施設との競合を避ける必要性が指摘されました。このため、野球やバレーボール大会などの大規模イベント開催時に、周辺ホテルの部屋が埋まった際の「別館」的利用の可能性が探られました。宿泊機能を持たせる上では、インターネット環境(Wi-Fi/LAN)の整備が必須であることも課題として確認されました。
  3. 地域連携・試住拠点 地域おこし協力隊の共同生活・起業準備拠点としての活用や、無人駅を移住希望者の「チャレンジハウス」として活用した成功事例 など、試住や地域に慣れるための拠点としての可能性も示唆されました。

【参加者の声】

アンケートでは、参加者から「ハード面から考えることの難しさを痛感した」という声が寄せられました。一方で、「現物を見て感じながら話し合うことの重要性」を再確認できた、「多業種の多角的なお話しを面白く拝聴できた」 といった前向きな感想が多数ありました。また、遊休施設を「立派な遺産」と捉え、「地域と一体となった施設を検討してみたくなった」という意見も聞かれました。

提案者の伊藤氏は、今回の議論で出た多様な案を参考にし、今後も継続して活用方法の検討を進めていきたいと締めくくりました。

 

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