
三重県中小企業家同友会 南勢支部の1月定例会が開催されました。
今回は公認会計士の伊藤隆氏をお招きし、「商品・サービスの価格引き上げ方法」と「2026年以降の経済予測」をテーマにご講演いただきました。
原材料費やエネルギー価格の高騰に加え、賃上げへの対応が急務となる昨今。「コスト増を価格に転嫁したいが、顧客離れが怖くて踏み切れない」「具体的な交渉材料の揃え方がわからない」といった悩みを抱える経営者の方に向けて、プロの視点から具体的なノウハウと心構えをお話しいただきました。

■戦略的な経営マインドへの転換
価格交渉を成功させるためには、まず経営者自身の意識を変える必要があります。伊藤氏は「お客様は神様ではない」と断言します。
安さだけを求めてくる取引先に疲弊させられるのではなく、自社の価値を正当に評価してくれる「優良顧客」を主体的に選ぶ姿勢が重要です。
また、過酷な価格競争(レッドオーシャン)から抜け出し、他社にはない独自の価値を提供する「オンリーワン」の領域を目指す差別化戦略が必要であると語られました。特定の取引先や事業のみに依存する「一本足打法」のリスクを避け、複数の柱を持つ経営体質への転換が推奨されました。
■価格交渉の実践的な準備と行動
交渉を単なる「お願い」で終わらせず、「論理的な協議」にするための具体的なステップも解説されました。
1. データの見える化
どんぶり勘定を脱し、製品・サービスごとの原価計算を徹底すること。その上で、自社の強みを反映した「単価表」を作成することが交渉の土台となります。
2. 客観的データの活用
特に転嫁が遅れがちな「労務費」については、最低賃金の上昇率などの公的統計データを根拠として提示することが有効です。
3. 能動的なアプローチと法的武器
相手からの提示を待つのではなく、業界の動向や相手の予算時期を見極め、自ら書面で希望価格を提示することが成功の鍵です。また、近年整備された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」や、新しい法制度を交渉の後押しとして活用することも重要です。
■日本経済の現状と未来への投資
講演の後半では、日本経済の展望についても触れられました。
日本の労働生産性が伸び悩む一因として、利益を未来への「投資」ではなく、現状維持のための「消費」に回してしまっている点が指摘されました。
しかし、構造的な変化を経て、2028年頃からは日本経済が再び成長軌道に乗る「日本の世紀」が訪れるとの予測も示されました。不安定な世界情勢の中、他力本願ではなく、自社の技術力向上や身の丈に合ったIT化(DX)を進め、自ら価格決定権を持てる強い企業体質を作ることが、これからの時代を生き抜く条件となります。
■学びと気づき
今回の講演を通じて、価格転嫁とは単に数字を書き換える作業ではなく、自社の提供価値を見つめ直し、顧客との対等なパートナーシップを築くための経営戦略そのものであると気づかされました。
明日から実践できるポイントとして、まずは自社のコスト構造を正確に把握(見える化)し、論理的な根拠を持って顧客と対話する準備を始めることが第一歩です。また、目先の利益確保だけでなく、数年後の「日本の世紀」に向けて、今から人材や設備への投資を惜しまない姿勢が経営者に求められています。
■まとめ
厳しい経済環境は続きますが、それを乗り越えるための具体的な「武器」と「地図」を手に入れることができた勉強会でした。
変化を恐れず、自社の価値を信じて適正価格での取引を実現していくことが、企業の存続、ひいては地域経済の活性化につながります。2026年、共に挑戦し、飛躍の一年にしていきましょう。

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