第3回未来へのバトンタッチのためのプログラムセミナー「親族承継と第3者承継(外部・M&A)の違いと準備すべきこと」

10月25日(火)19:00~より「未来へのバトンタッチのためのプログラムセミナー」の第3回を尾鷲商工会議所にて開催しました。

講師には前回に引き続き(株)事業承継アドバイザー代表取締役 伊藤隆 氏をお迎えし、「親族承継と第3者承継(外部・M&A)の違いと準備すべきこと」をテーマにご講演いただきました。

第3者承継の中でも今回は、中小企業においても増加しているM&Aについて、そもそものスキームから中小企業のM&Aの問題点をはじめ、売り手側・買い手側それぞれの立場における注意点などわかりやすく説明いただきました。またやむなく解散・清算を行う場合の手続きやスケジュールについても留意点を含めて解説いただきました。

M&Aのスキームには株式譲渡方式と事業譲渡方式の2つの方法があります。株式譲渡の場合は単に株主が変わるだけですが、事業譲渡の場合は個々の資産や負債をはじめ契約関係を個別に承継するため、固定資産や消費税の課税対象になることや許認可や代理店契約などが解除されるリスクが生じます。従業員の視点でみると、事業譲渡の場合、これまでの会社を退職して新会社に入社することになるため福利厚生をはじめ保険・年金・退職金なども変わってくるため、キーパーソンを見極めキャッチしておく必要があります。

買い手側の場合は事業譲渡方式が基本であり、売り手側の場合は株式譲渡方式が基本のスタンスとなります。買い手側の場合は、何を買うのか、M&Aの目的を明確にすること、そして対象となる企業の価値やリスクなどをしっかいと調査することが重要となります。売り手側の場合は、まず株主名簿を確認して株をまとめておくこと、私的な財産や経費を整理し、正しく収益力を把握できるようなきれいな決算書にすることが大切です。また買い手側においても売り手側においても、より良い条件でM&Aを行うには時間がかかるため、早めの着手が重要です。

解散・清算を行う場合も時間がかかります。会社を立ち上げるときは1週間ほどで完了しますが、解散・清算には早くて半年、債務が残っている場合は数年にわたるケースもあるため、起業よりも気力と労力・コストが必要になので注意が必要です。

最後には実際にあった相続トラブルとして、経営者が保証人となっていた未確定保証債務にまつわる事例が紹介され、相続するまた相続放棄をするかを判断する際に、亡くなられた方が連帯保証をされているかを確認することがポイントとしてお話しいただきました。

~参加者からの声~

次回は11月22日(火)19:00より「事業承継支援制度のあれこれ」をテーマに、三重県事業承継・引継ぎ支援センター 承継コーディネーターの方よりご説明いただきます。

※本セミナーは、中小企業・小規模事業者において経営者の高齢化が進む中で、「事業の承継」を親族・第3者への事業承継や事業の譲渡・売却・統合(M&A)、また廃業を含めて、それぞれ概念や仕組み・手順などの理解を深め、中小企業・小規模事業者における事業の承継の準備や課題を、規模や法人・個人事業者の違いを踏まえて整理し、東紀州地域における事業承継を促進するとともに、地域の雇用と経済を守る企業の存続を支援することを目的として、三重同友会尾鷲グループと地域の金融機関である紀北信用金庫の共催にて全4回にわたって開催しております。

 

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