桑名支部1月例会|やらされ感よりやってる感!社員に選ばれる会社の秘密

少子高齢化が進み、地方の中小企業にとって「人材確保」と「定着」は待ったなしの経営課題です。「働き方改革を進めたいが、売上が下がるのが怖い」「社員の主体性をどう引き出せばいいかわからない」と悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。

桑名支部1月例会では、株式会社前田テクニカの代表取締役、前田昌彦氏をお招きしました。かつては働き方に関する厳しい課題を抱えていた同社が、いかにして「年間休日125日」「残業月6時間」を実現し、社員が自ら新規事業を立ち上げる組織へと変貌を遂げたのか。その改革の全容と、経営者の覚悟について語っていただきました。


■「下請けの町工場」が直面した危機と転機

三重県で精密プレス・板金加工を行う株式会社前田テクニカ。山手線のドア開閉装置やH3ロケットのエンジン部品など、重要パーツを製造する技術力のある会社です。しかし、かつての労働環境は決して褒められたものではありませんでした。

2018年、外部からの指摘を受けたことは、同社にとって大きな転換点となりました。それまでの働き方が抱える課題を深く受け止めた前田社長は、現状を打破すべく、労働環境の抜本的な見直しに踏み切ります。

■「働きやすさ」を追求した環境整備

まず着手したのは、徹底した労働環境の改善でした。

・年間休日125日の完全実施
・月平均残業時間を約6時間に削減
・有給休暇取得率を約90%まで向上

これらを実現するために、「17時30分以降は電話に出ない」というルールの徹底や、顧客との粘り強い納期調整、そしてあえて余裕を持たせた人員配置を行いました。 さらに、奨学金の代理返還制度や、入社初日からの有給付与、男性管理職の育児休業取得推進など、社員の生活を支える福利厚生も充実させました。

■「やらされ感」から「やってる感」への意識改革

環境だけ整えても、会社は良くなりません。同社が掲げたもう一つのテーマが「やらされ感よりやってる感!」です。これは、社員が主体的に考え、行動する組織への変革を意味します。

かつての前田社長は、強いトップダウンで現場を引っ張る「軍隊型」の経営スタイルでした。しかし、それを180度転換し、経営者が社員を後ろから支えるスタイルへと変化させました。

その具体的な取り組みとして、全社員を巻き込んで「会社の未来図(経営計画書)」を作成したり、一般社員がリーダーを務める委員会活動を行ったりすることで、全員参加型の経営を実践しています。

特に象徴的なのが、社員発案による自社ブランド「Komonomono(コモノモノ)」や金属製プラモデル「トイメタル」の開発です。これらは社長が口出しをせず、社員が主体となって企画・運営されており、まさに「やってる感」を体現する事業となっています。

■今後の課題と「ワーク・イン・ライフ」

働き方改革が進む一方で、「働かない改悪」になってはいけません。前田社長は、生産性の向上を自分事として捉えてもらうため、経理情報の公開や付加価値額の共有を行い、社員一人ひとりが経営者感覚を持てるような土壌づくりを進めています。

「仕事の成功と豊かな人生はセットである」という考えのもと、働くことを人生の一部として充実させる「ワーク・イン・ライフ」の実現を目指し、今も挑戦を続けています。

■学びと気づき

今回の講演から、私たちが持ち帰るべき経営のヒントは以下の3点です。

経営者が変わる覚悟を持つこと 労働環境の改善も、社員の主体性も、まずは経営者自身が「トップダウン」から「サポーティブな姿勢」へと変わることから始まります。前田社長の「180度姿勢を変えた」という決断こそが、改革の原動力でした。

「働きやすさ」と「働きがい」の両輪が必要 休みを増やすだけでは会社は成長しません。環境整備(ハード面)と同時に、自社ブランド開発のような挑戦の場(ソフト面)を用意し、社員が「自分で決めて実行する楽しさ」を知る機会を作ることが重要です。

情報の透明化が信頼を生む 生産性を高めるためには、社員に数字への意識を持ってもらう必要があります。そのためには、会社のお金の流れや現状を隠さずオープンにし、信頼関係の土台を作ることが不可欠です。


■まとめ

「下請けの町工場だから無理だ」と諦めるのではなく、未来を見据えて一歩ずつ改革を進めてきた前田テクニカの実践報告は、多くの経営者に勇気を与える内容でした。

社員が「この会社で働いてよかった」と思える環境を作ることは、結果として会社の業績向上にもつながります。

まずは自社の現状と向き合い、できることから「社員に選ばれる会社づくり」を始めてみませんか。

📌今後の活動予定はこちらからご覧いただけます。
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📩お問い合わせは、三重同友会公式LINEでも受け付けております。
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