国内における電力事情について~電力自由化とは  尾鷲グループ5月勉強会

5月24日(火)19:00~尾鷲商工会議所にて尾鷲グループ5月勉強会を開催。

今回は中部電力パワーグリッド株式会社 尾鷲営業所長 山口洋規氏を講師に招き、『国内における電力事情について~電力自由化とは』をテーマに国内のエネルギー・電気事業についてお話しいただきました。

日本はエネルギー資源に乏しく、また島国であるため安定的なエネルギー資源の悪補が難しいという構造的な問題を抱えており、ウクライナ問題のように資源国の政治情勢が不安定になるなどの地政学的リスクや市場価格の急変に伴う市場価格リスクがついてまわります。
また年々増加する電気使用量に対して、天候不順による太陽光発電の出力減少やLNG在庫の減少によるガス火力発電の稼働抑制により電力需給が逼迫する事態も起きています。蓄電システムなどの普及も進んでいますが、基本的に電気は貯蔵ができないため需給バランスを保つ必要がありますが、そのバランスが崩れると電気の品質の1つである周波数が保てなくなり、最悪の場合は大規模停電が発生する恐れがあります。(2018年北海道地震をきっかけとした日本初のブラックアウト
近年では地球温暖化に対してCO₂排出抑制の動きから再生エネルギーの導入がすすめられていますが、自然環境により発電量は変化するため現在は火力発電が供給予備力として安定供給を維持しています。
資源エネルギー庁では2030年度の電源構成のあるべき姿として石油・石炭・LNGの比率を下げて原子力・再生エネルギーの比率をそれぞれ20%以上を目標に描いています。化石燃料を利用する場合においてもより低炭素な燃料を選び、原子力・再生エネルギーをはじめ効率よく発電するために研究がすすめられています。

日本の電力事情をお話しいただいた上で、昨今話題となった電力自由化に伴う新電力の現状についても触れていただきました。
新電力会社は2021年度で14件の倒産があり、2022年度3月までに31社が事業撤退しています。この背景には電力の市場価格の高騰とインバランス料金(事前の発電計画から大きなずれが生じた場合のペナルティ料金)の支払い負担が要因となっています。新電力への乗り換えの際に市場連動型プランを契約されていたことろにも影響があり、突如、契約解除の通知が届いて無契約の状態になるというケースも出ています。こうした場合でも電気は止まることなく、最終保証約款という制度によりエリアごとで大手電力会社が臨時に電力供給を実施してくれます。その間に切替手続きをすることが必要となります。自由化いによりいろいろなサービスと複合させた割引などもありますが、切替先はしっかりと選ぶことが大切です。

講演いただいた後には、参加者からの質問や疑問にそれぞれお答えいただき、日本のエネルギー事情をはじめ自社の電気コストについても考える機会となりました。

 

 

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